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続編の「MEZZO -メゾ-」が地上波で放映されガールズボイルドの金字塔となった「MEZZO FORTE」のDVD-BOX「メゾフォルテ PREMIUM COLLECTORS VERSION」が発売される。アダルトアニメなので美麗な濡れ場も見どころの1つではあるが、セックス描写抜きでも十分に楽しめる。
■アクションの本流はタフで優しい男からタフで美しい女へと変わる
ダシール・ハメットの「血の収穫」から始まったハードボイルド作品は、その初期に名作の多くが登場した。男の美学と乾いた暴力を描くハードボイルド作品の正統は、レイモンド・チャンドラー、ロス・マクドナルドへと引き継がれていく。
そんな初期ハードボイルド作品に、官能的な暴力を持ち込んだのが「郵便配達は二度ベルを鳴らす 」のジェームズ・M・ケインと「彼らは廃馬を撃つ」のホレス・マッコイ、乱射される銃弾をかいくぐるアクション要素を持ち込んだのが「マイク・ハマー」シリーズのミッキー・スピレインだった。ハードボイルドというジャンルはこのことによって分化していく。と同時に、肺がんに怯える鬱気質の探偵や美食のウンチク大好きの探偵などが登場するに至って男の美学とはかけ離れたものになってもいく。
映像に目を移すと、ハンフリー・ボガードが男の美学の象徴だとすると、ポール・ニューマン、スティーブ・マックイーン、クリント・イーストウッドで男の美学はソフティフィケイトされた。続いてバート・レイノルズによって「男の美=マッチョ」という流れが出来上がり、シルヴェスタ・スタローンやアーノルド・シュワルツェネガーによって袋小路に陥った。
「スカーフェイス」や「セルピコ」のアル・パチーノが一人、男の美学という異彩を放っていたように思う。タフで優しい男のアクション映画の時代は終わり、台頭してきたのが女性アクションスターである。
ハードボイルドではないが「エイリアン」のシガニー・ウィーバーは衝撃的だったし、「チャーリーズ・エンジェル」の3人(キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー)のしなやかなアクションは「男の美=マッチョ」にとどめをさした。「バイオハザード」のミラ・ジョヴォヴィッチ、そして「KILL BILL」のユマ・サーマン。記憶に残っているアクション映画の多くが、タフで美しい女のものになっていく。
アクション映画の本流がタフで優しい男からタフで美しい女へと移っていく流れを先取りしたのが梅津泰臣が監督・脚本をつとめた「MEZZO FORTE」だ。美しい女性によるアクションはワイヤーアクションの進化によって花開いたが、アニメという映像構築の自由度の高いメディアで作品を発表したことで、「KILL BILL」に負けない、少女によるアクション映像を先に世に送り出した。現に、クエンティン・タランティーノが梅津泰臣のファンであることを公言しており、その作品に影響があることは明らかである。世界に影響を与えたガールズボイルドの傑作「MEZZO FORTE」の魅力とは何かを探ってみよう。
■しなやかに躍動的にアクションする海空来の姿に快感を覚えるはず
人型のロボットが開発され、治安が著しく悪化した近未来の世界が舞台。ヒロインの鈴木海空来(みくら)は、危険代行業DSAで働いている。所長は元刑事でダジャレオヤジの黒川健一、同僚にはセックスロボの密造が得意なエンジニア原田智久がいる。海空来はブルース・リーが大好きで、銃(ガバメントが愛銃)の腕前は一流の少女。DSAの商売はあまりうまくいっているとは言い難く、食事は麺類ばかり。黒川が出版した警察内部の暴露本の印税を食いつぶしたり、セックスロボの販売で食いつないでという有り様。
「MEZZO FORTE」で敵対するのは、プロ野球チームのオーナーでもある企業、桃井グループの総帥とその娘。試合で打たれたピッチャーを杖でど突きまくったり、射殺したりとやりたい放題の人たちだ。特に娘の桃井桃実は、7歳で初めて人を殺して以来、人の命を奪うことに何の逡巡も覚えないサイコ女、作中で海空来と何度も激しく戦うことになる。
DSAに、桃井に雇われていた元殺し屋を名乗る人物から依頼が持ち込まれる。桃井グループの総帥である桃井桃吉の誘拐が依頼の内容。娘とともにボウリングを楽しむ桃吉をボディーガードから引き離し、誘拐は成功したかに見えたが……というのがあらすじ。桃井グループとの全面抗争、桃井桃実との対決に巻き込まれていく。
激しい銃撃戦を中心としたアクションシーンが何度も繰り広げられる。アニメならではのダイナミックな動きと構図。冒頭のアクションシーンでのビルから飛び降りるシーンや抜く手も見せずに敵を撃ち抜く、カーアクション+ガンファイトだけを見ても、何?このクオリティと驚くことになる。ここまで銃を描きこんでと作画&動画スタッフの苦労が偲ばれるディティールへのこだわりも見どころの1つだ。
■濡れ場のエロさも抜群! リアルなセックス描写に勃起しまくり
アダルトアニメなので、濡れ場も当然ある。黒川×海空来のベッドシーンは、これも銃撃戦同様、ここまでリアルに描かなくてもと驚くことになるクオリティ。といってもこのシーン、海空来の妄想なので、タフで美しいだけでなく、意外とエッチな女の子でもあるようだ。
メゾフォルテ PREMIUM COLLECTORS VERSION | ||
ブランド | GREEN BUNNY | |
発売日 | 2009年1月29日 | |
価格 | 6615円 | |
(C)2000 梅津泰臣/GREEN BUNNY |
キーワード: 萌え
2010年01月08日 23時59分