恋愛事は得意じゃないけど「おキツネ様の恋するおまじない」

お稲荷様にお百度踏んで満を持して、学園のアイドルへの告白。歯牙にもかえてもらえずフラれた主人公はおキツネ様に逆恨み。罵詈雑言にムカついて顕現したおキツネ様とある契約をするのだが…おキツネ様は恋愛成就は苦手のようでというお話が「おキツネ様の恋するおまじない」。

おキツネ様の恋するおまじない京都にある伏見稲荷大社を総本社とし、全国に6万社もあるといわれる稲荷神社。稲荷神は穀物・農業の神。恋愛成就を祈願されてもお門違いもいいところなわけで、おキツネ様にしても困ったなってとこだろう。稲荷神の使いとされているのが狐であり、これは「日本書紀」にも日本武尊(ヤマトタケル)を助ける狐として登場した由緒正しき神の眷属。キツネ憑きなど妖しいイタズラを行う狐とは全く別物の善狐である。御先稲荷(おさきとうが)なんていういかにもな呼称で呼ばれることもある。そんな由緒正しきおキツネ様に向かって吐かれた理不尽な逆切れの数々にさすがのおキツネ様も堪忍袋の緒が切れた。「人間の戯言と思って黙って聞いておれば……神を好き放題罵倒した報いを受けるがいい!!」と巨大なキツネの化け物となって現れる。

おキツネ様の恋するおまじない辺り一面を埋め尽くす白蛇によって、人間を懲らしめ罰を与えようとするのであるが、罰が当たってしまったのはなんとおキツネ様の方だった。蛇から逃れるために木によじ登った主人公だったが……木は体重を支えきれずに折れてしまう。折れた木は神社をものの見事に破壊して、「何をしておるかッ! 貴様ッ!? 儂の社をどーしてくれるんじゃ!? さっきは脅しのつもりじゃったが……本当に殺すッ!!」と今度はおキツネ様が逆切れ。神様の激鱗に触れ主人公の命は風前の灯だったのだが、偶然、近くにあった水晶玉を手にすると、おキツネ様の様子に変化が……どうやらこの水晶玉が弱点らしい。水晶玉を持ち帰り事なきを得たのだが、おキツネ様はその後も主人公にまとわりついて離れない。いわばキツネ憑き状態である。とはいえ根は善良な神の使い。少し落ち付きを取り戻したらしく美しい蒼白の長髪をなびかせた黒い巫女姿で顕現したおキツネ様。名を暮葉という。

■豪華な社と油揚げ3年分でおキツネ様が恋愛成就の神様に変身!?
おキツネ様の恋するおまじない「貴様、わしの社を潰すとはいい度胸じゃな。これでも神の端くれ、死ぬ前に懺悔くらい聞いてやろう」と暮葉は言う。事のいきさつを説明した主人公と暮葉は、「成就の暁には神社をゴージャス風に再建すること。それと3年間、毎日の油揚げの供え物。その2つを行うと約束するならば、お前の恋愛成就の願い、この暮葉が聞き入れてやろう」と約束するのであるが、稲作の神様に恋愛事が得意なわけもなく、神通力はあるものの、他人の思考を読んだり、姿を隠したり、耳と尻尾を出し入れしたるする程度。あまり役に立ちそうにもないおキツネ様の助力を得て、主人公の恋愛成就への楽しくもドタバタま恋愛劇が始まってしまうのであった。

主人公の思い人は学園のアイドル、鷹瀬京香。告白された回数は100を超えいまだ誰からの告白も受け入れたことがないというのであるから、初めての告白の相手としては随分と高望みしたものだが……まぁ、好きなものは仕方がない。ただし、この学園のアイドルにしてお嬢様キャラ、容姿端麗、頭脳明晰ではあるが、まったく隙がないわけでもなさそう。世俗にはもの凄く疎いうえに、愛猫に「須凄乃王(スサノオ)」、消しゴムには「ケンシロウ」なんて名前を付けちゃうほどに世間様とちょっとずれたセンスの持ち主だったりする。ほかにも寝たら起きない、ストレス解消グッズコレクター(ということはストレスあり?)、男の子からの告白を受け入れないのは「とある理由」のためと、攻略しやすいタイプとは言えないが、難攻不落ではないような気がする……。

■素直になれない幼馴染の巫女さんとドジな陰陽師と恋愛成就?
誰かと恋愛成就させれば、ゴージャスな社と油揚げ3年分をゲットできる暮葉にとって、主人公とくっつく女性は誰でもいいらしく。「京香は難しいからこいつを彼女にしろ。こいつはお前のことが好きだから、すぐに結ばれる」とススメてきたのが、秋葉由唯。主人公の幼馴染にして、暮葉が祀られている神社の娘兼巫女さんである。巫女というからにはそれなりに神通力もあるらしく、人間に化けていた暮葉の正体を見破ったりしている。密かな恋心を抱いていたということを本人のいる前で暴露されてもなかなか素直になれないのが幼馴染というもの。主人公が京香に憧れていると知って、髪を長く伸ばし始めるなんて健気な努力はしているくせに口から出るのは「勘違いしないでよね! ウチの神社をあのままにしてたら、ご近所に色々と言われるからほっとけなかったのよ!!」なんていう素直じゃない分かわいいセリフだったする。

もう1人、ややこしいけど楽しいキャラが……。主人公の住む街に異変を感じた退魔協会が送り込んできた二階堂まなという陰陽師。安倍晴明の母親は白狐という伝承があり、おキツネ様と陰陽師は全く関係ないというわけではないが、気が弱くて臆病で怪談やお化け屋敷にすらビビリまくる陰陽師では少々役不足? キツネ神の暮葉を妖怪だと思って、密かに付け狙うことになるのだが……。由唯とは従姉同士という間柄で、秋葉神社に居候することになる。これまた、暮葉からすれば、主人公の恋愛を無理やり成就させるための対象の1人という気がしないでもない。ドジっ娘なので隙だらけだしw というわけで神様1人と女の子3人のヒロインたちを相手に主人公の恋は、誰とどういう風に成就していくのか、おキツネ様のドタバタ恋愛指南の行方が気になる作品だ。神様、巫女、陰陽師、お嬢さまがヒロインなので和装好き、お嬢様好きにはたまらないかも。

おキツネ様の恋するおまじない
体験版ダウンロード
ブランドchorus
発売日2010年6月25日
価格9240円
(C)Will/chorus All Right Reserved.

キーワード: 純愛

2010年04月30日 14時18分